チャットモンチー帯広ライブレポート 2017年6月29日

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チャットモンチーのCDと犬

チャットモンチーの完結が近づく

チャットモンチーの最後のワンマン・武道館公演がついに来週に迫ってきた。
新譜「誕生」も無事発売。「これでこのバンドは本当に終わりなんだ…」、と不思議な感慨に浸りながら昨日はその音を堪能したよ。

 昨日はそんな6月29日だったんだけど、ちょうど一年前チャットモンチーは「機械仕掛けの秘密基地ツアーで、帯広でライブを行った。もうあれから1年経ってしまった。そしてこの1年でチャットモンチーをめぐる状況が、こんなにも大きく変化するとは思っていなかったよ。
 最後の武道館公演を目前にして、一年前の帯広ライブを思い出してみようと思う。

 それにしても、思い出すと、じわじわと面白みが込み上げてくる、この時のチャットモンチーのライブの事は。いったい今回の武道館では、2人は何をやらかしてくれるのであろうか。

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2017年6月29日、チャットモンチー帯広ライブ

 6月29日にチャットモンチーと機械仕掛けの秘密基地ツアー2017の帯広公演があった。知床も道東地域と呼ばれているが、オレの住むオホーツク海側から帯広に行くには250kmもの距離を車でドライブしなければならないのだ。道東とひと括りにされるが、実は広大な地域なのだ。だからバンドもツアーなら、ファンもライブを観にツアーをする事になる。

 その日、仕事は午前中で切り上げ、そのまま帯広へ向かって出発。運転が大変なんで、女房も交代要員で付いてきてもらった。

 延々と車を走らせ3時間、やっと十勝圏の足寄町でちょっと休憩。ここまで来るとアウェー感をひしひしと感じる。足寄からは高速に乗り帯広に着いたのは、出発してから4時間強の午後4時ちょっと過ぎ。長時間運転は疲れるけど、目的はライブ。これからが本番だ。

2017年6月29日 松山千春記念館

足寄町の道の駅。ここはかってふるさと銀河線という第三セクター鉄道の駅舎。高速道には金は出すが汽車には金は出せないと言う事で2006年に廃線。松山千春コーナーが当然ある。奥に映っているハゲは等身大のチー様のパネル。
きっと徳島の駅にもいずれチャットモンチーコーナーが出来るに違いない。

 ライブ会場はMEGA STONE。楽器屋とヴィレッジヴァンガードとライブハウスが合体した建物の中にあるライブハウスだった。小さなライブハウスなんだけども、これでもびっしりと客を入れれば600人も入るらしい。

が今回は300人ぐらいの客の入り。もう若くないオレとしては、汗だく、密着のライブはしんどいので、のんびりと見られるこのぐらいの入場者数がちょうど良いと思う。

 オレは会場真ん中の鉄柵に陣取る。客層は男女比が4対6位で女の数の方が多い感じ。年齢層も20代前半から中盤が中心。オレより歳をとっていそうなのは、1人居るかどうか。すぐ目の前に、10歳ほどの娘連れのお父さん、たぶん40歳前後が居る。

 チャットモンチーのライブはこれで4回目で、2人編成のライブとしては3回目になる。今回も2014年の「変身ツアー」みたいになるのかな思っていたのだが….。

あの名曲を新解釈で披露 とまどい…

 チャットモンチー2人がステージに登場。と思ったら、2人ともいきなりヘッドフォンを頭にはめて、イスに座る。おもむろにパソコンを操作して、打ち込みのドラム&ベースのトラックが流れはじめ、それに合わせてメロディーをキーボードで弾き歌うと言う、予想外のスタートだった。

 次々と過去の作品が演奏されるのだが、どれも打ち込み演奏にリアレンジされて、メンバーは座ったままで演奏する。オレはちょっと戸惑ったよ。なんだかノレ無いテクノと言った感じだ。チャットモンチーはもうロックバンドをやめて、KraftwerkやJohn Foxxになってしまったのか? とこの時は思ったよ。しかも、これじゃ踊れない。ああいうテクノバンドじゃない彼女らの作ったトラックだと、何かが足りない気がする。

 そうやって何曲も次々と演奏されるのだが、客も少しあぜんとしていた気がする。オレも少し、これじゃあ今までのファンが離れてしまうんじゃないかって、一抹の不安が頭をよぎった。
「恋の煙」、「染みるよ」といったファンにはおなじみの曲が、そんな機械仕掛けのアレンジで演奏されて行くのだが、心の底から楽しめない。

えっちゃんがようやっとギターを抱える

 そんな考えが頭をよぎっていた頃に、えっちゃんがようやっとギターを抱え、あっこちゃんはドラムにおさまる。「さあ、ここからはノリノリの時間だよ」と、あっこちゃんが力強く宣言!。そこから会場の雰囲気が完全に一変した。チャットモンチーはやっぱりロックバンドなんだよ。ギターだよ、ドラムだよ、ベースだよ。

 「変身」の頃と違うのは、コンピューターが2人では足りないベース、時にはドラムの音を担当している事。アッコちゃんがドラムを叩いている曲では、コンピュータがベースを担当している(と思う。変身ツアーの時はギターにオクターバーをかまして低音を入れていたが、今回はちゃんとベースの音が鳴っていた)。

ヘッドフォンを付けたり外したり、ヘッドフォンからはコンピュータのガイド音が流れているのだろう。インナー型のヘッドフォンが有るご時世に、スピーカ部分の大きな、昔ながらのヘッドフォンを使用するのは彼女達のこだわりか。はたまた雑音を聞こえなくするためなのかはちょっと判らない。何にしても、見た目はYMO見たいで、オレのようなおじさんにはなんだか懐かしい気持ちになった。

ベースを弾くあっこちゃんの真っ赤なマニキュアが目に焼き付いて離れない

 何と言ってもやはりえっちゃんのギターの音はとてもいい。絶対に折れない剛性を持つのに、ものすごく柔軟な繊維、そんな風に表現したくなるしなやかな美しく歪んだ音。そして以前に比べて格段に上達したあっこちゃんのドラム。「変身ツアー」のような緩さはもう感じられず、非常にタイトなリズムを刻んでいた。

相変わらず、ギター、ドラム、キーボード、ベースと楽器を交換しながらも、足りない部分はコンピュータが手助けすると言うその手法は成功している。
変身ツアーとの大きな違いは、2人だけで全てやろうとしたその制約が外れ、曲をより大胆に、自由に表情豊かに表現することに成功している。

 今回も随所にお遊びが仕込んであり、1つのドラムセットのベースドラムとキーボードをアッコちゃんが担当し、スネア等他の部分をえっちゃんが叩きながら歌うという曲芸も披露していた。

 ライブ最後の曲は「シャングリラ」。機材のトラブル、といってもベースの音が出ないと言う、アナログのトラブルのため、曲の出だしからやり直すと言う事故が有った。それがあって、逆により盛り上がっていったん終了。正直、以前見た男陣の4人編成のチャットモンチーの時に聴いた「シャングリラ」より、このチャットモンチー・メカでの演奏の方がはるかにタイトで良い出来だった。

 その後アンコールではスチャダラパーとのコラボの曲を、えっちゃん、アッコちゃんの2人で演奏・ラップし、あっこちゃんは客席に入り込むと言う大サービスぶり。最後に演奏した曲は「満月に吠えろ」で観客を沸きに沸かせてライブ終了。前半は非常に戸惑ったものだが、後半は力技で客をノリノリにさせてライブを締めくくると言う、ロックバンド・チャットモンチーの力量を存分に見せられたライブだった。

 歳も歳なので大人しく見ていたつもりだったのだが、終演後会場を後にしようと歩き出す、足がびびる。ほとんど跳んだり跳ねたりしていなかったのにね。これが歳ってやつか。もう若い時のように、最前列で飛び跳ねたら入院しちゃうな。

 なんだかんだ言って、終わってみればとっても満足のライブで、戸惑った前半のテクノ・チャットモンチーも振り返れば非常に面白かった。
何故かすぐ目の前にやってきてベースを弾いていた、あっこちゃんの小さな細い指と、ツメの真っ赤なマニキュアが目に焼き付いて離れない。

 つねに挑戦し続け、音楽と真摯に向き合う二人の姿、これこそがチャットモンチーの一番の魅力だと思う。音楽って崇高なものへの捧げものなんだって思う。

 ライブの後に女房とちょっと軽食を食べて、帯広をの出発したのが22時。そして家にたどり着いたのは翌日の午前2時半。留守番をしていた犬が、大喜びでうちらを向かえてくれた。

ふと外を見てみると真っ暗だった空はもう群青色に変わっていた。昔ならオールナイトニッポン第2部が始まる時間だった。眠い目をこすりこすりラジオを聴いた小中高生の頃を思い出すよ。

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チャットモンチー福岡晃子さん「第53回徳島新聞賞特別賞」

 ちょうど同じこの日「チャットモンチー福岡晃子さん「第53回徳島新聞賞特別賞」なんて記事が公開されていた。

彼女達のこういう素朴で素直な活動こそ、郷土愛、愛国心と呼ぶべきだろうと思う。誰かに言われて旗を振ったり神社詣でをすれば愛国者なのか? 目を血走らせて拳を突き上げて平和を叫ぶ事も平和を願う事とは違う。

 自分の持てるチカラ、才能を最大限に有効に使って、みんなを幸せにするなんていうすてきな活動こそ、愛国心だったり平和運動だったりすると思うのだ。
 だからそんな彼女達が心底美しいと思う。

チャットモンチー福岡晃子さん「第53回徳島新聞賞特別賞」インタビュー|PICKUPニュース|徳島新聞

ふるさと徳島に貢献した団体などを顕彰する「第53回徳島新聞賞特別賞」に選ばれた、女性2人組ロックバント・チャットモンチー。県内でのイベントのため帰郷したメンバーの福岡晃子さんに、受賞の感想と徳島への思いを聞いた。(聞き手=生活文化部・橋本真味) ―受賞の感想を。バンドとして徳島で賞をもらうのは「はな・はる・バンドコンテスト」グランプリ以来です。記念の盾を受け取って、賞の重みを実感じました。と…


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